さていよいよ見慣れた革になってきました。第4弾。
まず、ヌメ革とは天然素材のタンニンを使いなめされた、染色などしていない素の状態の革です。
使い込むほどに、いわゆる『革らしい』という風合いが出ます。飴色といいますか、深ーい色に育っていきます。そう、まさに革は使いながら育てるんです。
クロムなめしだと出せないエイジング(経年変化)が楽しめ、自分がよく触るところだけがどんどん色変わっていくので、一目で自分のだってわかる愛着の逸品なんですよね。
さて、シリーズで書いてきましたが最終章です。
ヌメ革になって乾燥されているところからスタートです。
1週間以上干して乾かした革は、ここからオーダーに応じた厚み、柔らかさ、色に種別されていきます。
まずはすき機にかけて厚みを注文に応じて調整します。床革(とこがわ)と呼ばれる、靴の裏の革などは硬くて厚みがいり、靴、ベルト、バッグなどなどある程度薄くないと加工できないものは薄く。
折角『乾かして』『すいて』革っぽくなったところで、もう一度なめし工程にもどり柔らかさなど風合いや色を加えるため、ドラムに入れます。
またも水分一杯になった革は、ローラーに掛けられ水分を取りつつ、革のシワシワしたところなどもピシっと伸びてきれいな見た目に!
まだ水分の残る革を今度は、オーダー内容によって厚さや伸びにくい革を手伸ばしするという作業です。
ハンドセッターという、ローラー状になったダイエットマシンみたいな機械を使って革の表面を均一にしていきます。端の細かところは鋼のヘラを使って丁寧に伸ばしていくようです。
丁寧ながら、大きな革全体を全身使ってハンドセッターをかけていく職人技術はすごいです!
あ、ここで革にある引っ掛ける穴が作られてる!!↑↑
長年使っているという木のヘラは、持ち手がツヤツヤ。
作業が終わると、竿に革をかけてヒョイッと干場に持っていきますが、まだ完全に乾いてない革の重さは約30㎏。
それを一日450枚も運ぶそうです!!
かけられた革のカーテンは壮観です!ここで最後しっかりと乾かしていきます。乾燥が甘いとカビになっちゃいますからね。
いよいよ仕上げに入ってきました。
乾かした革はオーダー通りの色に仕上げるため、吹き付け作業です。
ここで初めて女性の職人さんが作業されていました。
色に関して、どうゆうわけか女性の方がオーダー通りの色を作り上げる能力が高いのだそうです。
99%に近いくらいクロムなめしが一般化している革ですが、タンニンなめしの革の良さは革好きには代えがたいものです。
製造過程を見るとますます愛おしくなるほど時間と人の手がかかり、もう「革高い!」なんて言いません!!
毛や脂肪など取るだけで、1週間、ピット槽で漬け込み1か月以上かかって出来上がるタンニンなめしの革。
弾力性に富んだ天然タンニンなめしにこだわり続けるタンナーがいる限り、革マニアは愛用し続けられます。
見学させていただいた栃木レザーさんの知られざる仕事現場は、想像をはるかに超え革の奥深さと魅力を堪能でき、ますます革に魅了されました。
忘れたくないので、備忘録的に書きましたが、かなり熱くなってしまった(;^_^A
それではまた