タンニンのピット槽への長い旅が始まる
いよいよタンニン槽に漬け込みです。
日本では、きれいでかわいい黄色いミモザから抽出されるタンニンを使い、溶解液が入った槽に濃度を変えながら一か月ほど時間をかけて漬け込んでいきます。
何枚も皮が釣り下がったものが、クレーンで引き上げられては濃度の違う槽へ移動。
蛍光灯や太陽光が入ると品質に変化が出てしまうので、作業場は電気がありません。
薄暗中、広いピット槽が並んだ作業場からはキコキコっというシーソーのような規則正しい音が聞こえてきます。この音は自動で皮を揺らし、じっくり繊維内にタンニンを浸透させていくためらしく、皮がゆらゆらしているのがなんとなく見て取れます。
この時から皮は革へとなっていきます。
長期間タンニンに付け込まれてきた革は再度大きなドラムで洗浄
そして大きな専用の機械で水分をとりのぞき、皮の内部にある水分を抜くことで腐敗を防ぎます。半身の革としても重さは20㎏ほどあるそうなので、男性二人でもかなりな重量だとおもいます。
機械から出てきた革は、だいぶヌメ革っぽい!
水分を抜いた革はすぐに硬くなる
水気を切ったり入れたりの繰り返し。
乾いてしまうと硬くなって加工しづらくなるために、すぐさま巨大なドラムに革とオイルを投入し、回しながらオイルを浸透させていきます。
オイルの浸透により革にやわらかさとツヤ、伸縮性や耐久性を高める革の良さが一気に手に入る工程です。
ぷるるん♪
柔らかくなった革を均一に伸ばす
セッターというローラーにかけて革を均一伸ばすと、かなりシャキンと一枚の革になります。
そして吊り下げられた革は自然乾燥していきます。
ここで、タンニンなめしとクロムなめしの違いをご紹介!
なめしには植物由来のタンニン剤と化学薬品のクロム剤の2種類と両方を使ったコンビネーションなめしがあり、革の仕上がり、風合いが大きく違います。
ベジタブルタンニンなめし
使い込むほどに「いい味出て来たな」とエイジング(経年変化)を楽しめる革はタンニンなめしの革。
日本では春に黄色い花をたくさんつけるミモザから取れるタンニンを使用します。
クロムなめし
車やソファーのシートなど柔らかくて色の変化などあまりないのが塩基性硫酸クロムという化学薬品を使ってなめした革。
短時間で生産でき、汎用性が高い革になるため、普段見かける革製品はクロムなめしの革が多いとおもいます。環境汚染が問題視されていますが、いづれこの問題も解決する薬品ができるとおもいます。
海外のトップブランドのバッグなども、ほとんどクロムなめしです。最高級レザーをトップ技術のタンナーがなめす革は、値段だけある革にしあがっているんだとおもいます。
つづきはまた